「外壁塗装は10年ごとに必要」と今まで耳にされたことはありませんでしょうか。結論からお伝えします。現在は「13〜18年」が塗り替え時期のひとつの現実的な目安となっています。確かに以前は10年がひとつの基準となっていましたが、必ずしも誰もが10年で塗り替える時代ではありません。その理由と注意点、どう判断したら良いか、など以下で詳しくご説明していきます。(他の塗装会社では、IT専門業者などが量産するコラム記事などが多くありますが、この新しく設置した「コラム」記事では、実際の施工担当がこれまでの経験をもとに時間を掛けて書いております。気になる方は最後までお読みいただき、何かのお役に立てれば幸いです)
なぜ「10年ごと」と言われてきたのか
かつて主流だったウレタン系塗料や初期型シリコン塗料の耐用年数は、およそ8〜12年程度とされていました。そのため、築10年前後で防水性能が低下するケースが多く、「10年で塗り替え」という考え方が一般的になったという背景があります。
しかし現在は、特にここ5年ほどで高耐候塗料のラインナップが豊富になり、
・高耐候型シリコン塗料(10〜18年)
・ラジカル制御型塗料(10〜18年)
・フッ素塗料(15〜20年)
・無機系塗料(15〜22年)
など、紫外線や雨風に強い塗料が主流になっています。塗料の性能だけを見れば、15〜20年程度の耐久性が期待できる製品も増えてきました。これが、従来の「10年目安」から変化してきた大きな理由です。
なぜ新基準は「13〜18年」なのか施工者としての考え方
前述の通り、塗料の進化によって、外壁塗装のメンテナンス期間は以前より長くなってきました。しかし、「15年」や「20年」と言い切らず、「13〜18年」とお伝えしているのには、私たちなりの明確な理由があります。
理由は大きく2つあります。
1つ目は、高耐候と謳われる塗料であっても、施工業者として「20年後まで必ず持ちます」と断言することは現実的ではないと考えているからです。
2つ目は、住宅ごとに仕様や劣化状況が異なるため、一律に年数を固定できないからです。
① 高耐候塗料への考え方
現在では、期待耐用年数が20年を超え、「30年持つ」と謳われる塗料も流通しています。カタログ上や促進耐候性試験(塗料の耐久性を短時間で評価するための人工的な耐候試験)の結果として、そのような数値が示されているのだと思いますし、そうした材料やそれを採用する考え方を否定するものではありません。ただし、施工者としての立場から申し上げると、少し飛躍している表現ではないかと感じることもあります。「外壁塗装をすれば住宅全体が守られる」という考え方は、やや誇張された表現です。
実際の施工目的はあくまで、
・外壁材の保護
・防水性の向上
になります。住宅全体には、屋根・雨樋・付帯部・防水層などさまざまな部位が存在します。さらに、地震・大雨・台風などの自然環境の影響も受けます。塗料が30年持つ可能性があることと、住宅全体が30年ノーメンテナンスで済むことは、必ずしも一致しません。
地域に根差した塗装会社として、責任を持ってお伝えできる現実的な数字は、長く見積もっても20年前後がひとつの目安であると考えています。その責任ある表現として、ここでは「13〜18年」という現実的な幅を提示しています。
② 住宅ごとに仕様と劣化状況が異なる
もう一つの理由は、住宅ごとの仕様の違いです。影響を与える主な要素は、
・建てられたハウスメーカーの仕様
・外壁の素材や仕上げ方法
・新築時のシーリング材の種類
・立地や方角
です。例えば、同じ築15年の住宅でも状況はそれぞれ異なります。また「塗り替えから10年経過した住宅」であっても、劣化の進み方は個々で違います。そのため、年数だけで一律に判断することはできません。
ハウスメーカーと外壁素材による違い
建物の仕様というポイントを深堀すると、外壁塗装は、建築時の仕様によってもメンテナンス周期が大きく変わります。例えば外壁材には、
・窯業系サイディング
・金属サイディング
・ALC外壁
・塗り壁・ジョリパット等意匠性塗材仕上げ
・タイル外壁
などがあり、さらに、ハウスメーカーごとに
・外壁材のグレード
・シーリング材の種類
・防水設計
が異なります。最も多く採用されている窯業系サイディングにも一般的なグレードから高耐候モデルまであり、更には塗り壁のような仕様であると、メンテナンス周期は比較的早く、短くなります。弊社の施工事例において施工した築年数にバラつきがあるのもそれが理由です。
築10年前後の施工事例
築20年前後の施工事例
最も多いご相談「外壁はまだ状態が良いが、シーリングが心配」
では実際に、最も多いご相談はどこに劣化が出るケースなのかを見ていきます。特に多いのが、築10年前後でのご相談で、「外壁自体はまだ綺麗に見えるが、シーリングのひび割れや硬化が気になる」という内容です。これは決して珍しいことではありません。では、なぜ新築から10年でシーリングが先に劣化するのでしょうか。根本的な理由は“仕様と紫外線環境”にあります。
新築時、外壁材は比較的高耐久なものを選ばれていることが多い一方で、シーリング材まで最高グレードのものを採用しているケースはそれほど多くありません。
さらに大きな違いは、新築時と塗り替え後の紫外線への暴露状態です。
■ 新築時のシーリング
シーリングを打設して仕上げ
→ そのまま長期間、紫外線にさらされ続ける
■ 塗り替え後のシーリング
既存撤去 → 打ち替え → 乾燥
→ その上から塗料がかかる
→ 塗膜により紫外線から保護される
この違いにより、新築時のシーリングは紫外線の影響を強く受けやすく、10年前後で劣化が目立ち始めることがあります。
南面だけ劣化が進む理由
弊社が主に携わっているみよし市・豊田市・日進市周辺でも、南面のみ劣化が進んでいる住宅を多く見てきました。


南面は、
・日照時間が長い
・紫外線量が多い
・温度変化が大きい
という条件が重なります。さらに近年は、春や秋の穏やかな気候の期間が短くなり、5月から10月にかけて高温状態が続く傾向も見られます。そのため、特に影響を受ける南面では
・シーリングの硬化
・ひび割れ
・塗膜の劣化
が他の面より早く進行する傾向があります。東西面は住宅が隣接していることも多いので、「南面だけ傷んでいる」というのは、決して珍しい現象ではありません。
つまり、お客様ですべてを理解し、適切なメンテナンス時期・周期を把握するのは非常に難しいです。
そのため、知識のある業者に「少し早いかも?」と思っても一度相談いただくのが最も効果的な手段だと思います。弊社では「塗装が必要かどうか」現地調査せず、住所と写真をお送りいただくだけで、簡単に診断することも可能ですので、お気軽にご相談ください。
問い合わせをするのに少し躊躇される方もいらっしゃるかと思いますが、弊社では、「まだ早い」と判断した場合には、正直にその旨をお伝えしてきました。「○年後」がベストなのでもう少し待ちましょうなどとこれまでも提案してきましたので、安心いただければと思います。実際に、この住宅に関しては屋根との兼ね合いがあったこと、当時はまだ状態が良かったことから問い合わせより3年後に施工をした例になります。実際に工事をして、やはりこの時期がベストだったと心から感じました。
外壁塗装の判断基準は「(年数+状態+仕様)×施工品質」
ここまでを整理すると、外壁塗装の要否に対する判断基準は次の3つです。
① 築年数
② 実際の劣化状態
③ 住宅の仕様(外壁材・シーリング材など)
この3つを総合的に判断することが、最も合理的な考え方になります。
実際の現場では、
・外壁はまだ健全だが目地(シーリング)が劣化しているケース
・築20年でも塗装によるメンテナンスが不要と判断する住宅
・南面だけ明らかに劣化が進行している住宅
・北側など日に当たらない面に汚れが顕著に見られる住宅
など、実にさまざまです。「築◯○年だから塗装」「前回の塗り替えから何年だから」という単純な判断はできないのが難しく、弊社が30坪○○円、込々100万円といったパッケージ化をしていないのも、そのためです。
ここまでは、外壁塗装が本当に必要な時期、状態、それらの条件が異なることについてお伝えしました。ここからは、その次の周期「塗装工事後、何年後が塗り替え時期になるのか」ということについてです。年数+状態+仕様を鑑みて適切な時期を判断した後、掛け算のようにテーマとなるのが「施工品質」です。
実際の施工品質がその後の耐用年数を大きく左右するということを忘れてはなりません。
単純に塗装会社から提案された塗料の耐用年数=実際の持ちではないというところに注意を向ける必要があります。
塗料カタログに記載されている耐用年数は、理想的な施工条件での期待値です。ほとんどの材料がキセノンランプ式を主流とした室内での促進耐候性試験によるもので、既定の無希釈による塗布量を100%遵守した場合を想定しています。ただ、問題なのが塗装工事は工場生産ではなく、現場での手作業によるものだということです。
・下地処理の丁寧さ
・規定塗布量の遵守
・乾燥時間や天候を想定した管理
・建物や材質に最適な塗り方、希釈量
これらが守られてこそ、塗料本来の性能が発揮されます。どれだけ塗料が進化しても、施工するのは人の手です。だからこそ、施工体制や技術力、特にそれを遵守する職人の習慣が重要になります。
まとめ|【13〜18年が新基準】ただし建物ごとの見極めと施工品質が鍵
外壁塗装は「早ければ安心」でも「安ければ正解」でもありません。適切な時期を見極め、住宅の仕様と状態を正しく理解し、施工品質を担保することが、住まいを長く守るための最も確実な方法です。外壁の状態、シーリングの状態、住宅の仕様や環境をしっかりと把握し、判断することが大切で、更には見積書の内容を再現性高く実施できる業者を探すことが、お客様に最適なメンテナンス周期を最大化できる方法になります。
住宅は長く住み続ける大切な資産です。年数だけで判断せず、状態と仕様を見極め、信頼できる施工で計画的に行うことが重要となるため、「塗装の時期かな?」と思われた際はぜひお気軽に地域の塗装専門店にご相談ください。
